田財務諮詢(上海)有限公司 総経理・税理士 貝田 雅和氏 日中で続ける会計・財務 新時代の事業継承支える

2019年6月1日

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かいだまさかず●1954年生まれ。関西学院大学商学部を卒業後、会計事務所に勤務しながら、25歳で税理士資格を取得。81年、大阪に会計事務所を開設。2003年に上海事務所を開き、日系企業向けを中心に財務、税務、監査などのコンサルティングサービスを提供。中国の税制・会計制度に関する学習会や中小企業の事業継承に関する相談も行っている。

上海で16年見続けた変化

―日本、中国ともにキャリアが長いとうかがいました。
1981年、25歳の時に会計・税理の貝田会計事務所を大阪で開業して今年で38年になります。また、2003年に上海で創立したコンサルティング会社、貝田財務諮詢(上海)有限公司も16年となりました。監査、記帳代行、会社の設立登記、労働ビザの申請から企業清算・再編、そしてコンプライアンスまでお客様のニーズに対して細やかなサービスを提供させていただいております。
日本市場の成長が期待できない中、中国に進出してよかったと思っています。中国経済はさまざまな問題を抱えながらも、世界の工場から世界最大の消費市場、キャッシュレス・IT大国へと変化してきました。すさまじい勢いで進むこの変化には驚嘆を感じざるをえません。
―中国の16年の変化についての感想をお話しいただけますか。
社会生活上のマナーが悪いといわれてきましたが、監視カメラの効果もあり交通ルールを守るようになってきましたし、順番待ちで列を並ぶことや、公共交通の乗り降りも秩序だってきました。最近では歩行者の信号無視に20元の罰金を取る制度がスタートしました。世界各国でテロ事件が発生していますが、中国では鉄道、飛行機などのセキュリティー検査が厳しいので安心感があります。地下鉄などではランダムな身分証チェックがあり、身分証不携帯には200元の罰金もあります。キャッシュレス決済によりレジでの待ち時間が飛躍的に改善されましたし、携帯電話で出前やオンラインショッピングのデリバリーができますので本当に便利で
すね。日本よりも利便性が高まっていることを感じる部分も増加しており、外国人も暮らしやすい国になってきたと思います。

 

所得減税は日本人にも恩恵?

―中国当局は景気対策のため、減税を行いました。個人や企業に対する恩恵をどのように見ていますか?
中国経済は米国との摩擦のために減速が心配されましたが、政府による減税など効果的な対策を打ち、景気の持ち直しが感じられます。税額控除可能な所得額が高まり、企業従業員の可処分所得は増加しています。さらに企業の売り上げにかかる増値税ですが、これまで16%の税率であったものが、段階的に13%まで軽減
されます。この減税措置で恩恵を受ける企業は多いのではないでしょうか。
また、中国に長期滞在している外国人の中国国外源泉の金融所得に対する中国での所得税支払いの制度が改正されました。以前は、中国に年間270日以上の滞在を5年以上続けている外国人は中国国外の所得について所得税の支払いを義務付けられていました。例えば、5年間、年に270日以上中国で過ごしていた日本人が、年末ジャンボ宝くじに当たったら、20%の所得税が中国でも課されるところでした。それが、今回の改正で滞在年数を新しく2019年から起算することとなり、また年限も6年以上に延長となりました。中国に長期滞在する日本人でも年間90日以上、わざわざ日本に帰国する方は多数いますので、安心した方が多いのではないでしょうか。私のように宝くじが好きな人にとって、ちょっといいニュースとなりました(笑)

重要度増す事業継承

―新時代、「令和」の日系企業各社の問題意識についておうかがいします。
事業の継承が重要な課題ではないかと思います。これまで中国で活躍してきた人々が去り、新しい世代にバトンタッチする企業が増えています。中小企業は子ども世代への事業継承という問題も発生してきています。弊社も「総経理塾」や「中国勉強会」といったセミナーで私が息子と一緒にこれまでの経験をお客様に伝えております。これからも継続していきたいと思います。