首都博物館の鏨花金什件が見たいの巻

金のハサミに壺
便利な道具の腰飾り

 ハサミや壺を模った金製の小さなチャームが7つ繋がった装飾物、鏨(ざん)花金什件。明代の官僚、万貴とその妻の墓より発見された。チャームはほかに瓶、容器、刀、袋に、縄を解く道具である觹(けい)があり、全てに細かい装飾が施されている。同様のアイテムは中国で古くから、腰に付ける装飾品として使われていた。中世ヨーロッパで流行した飾り鎖「シャトレーヌ」にもそっくり。
 展示するのは、06年にリニューアルオープンした北京市西城区の首都博物館。同市にゆかりのある文物を中心に、5622点を鑑賞できる。演劇の舞台を立体的に表現した陶製の枕もユニークだ。

邯鄲市博物館の金銀塗承輿大爵酒樽が見たいの巻

カエルが支える
諸侯王の金の酒樽

 小さなカエルが支える青銅製の筒型の樽、金銀塗承輿大爵酒樽(きんぎんとしょうこうたいしゃくさかだる)。河北省邯鄲(かんたん)市邯山区南部で1970年に発掘が開始された、漢代の張獣という人物の墓から見つかった。樽を支えるカエルと、さらにそれを乗せた盆を支えるカエルとの表情が異なっており面白い。張獣は、遺体が短冊形の玉で作られた衣服、玉衣(ぎょくい)に包まれていたことから、諸侯王だったと考えられている。
 展示するのは、同じく邯鄲市に位置する邯鄲市博物館。戦国時代、趙の首府だったこともあり、趙代の文物も多数紹介する。17年1月、国家一級博物館に認定された。

西安半坡博物館の人面網紋盆が見たいの巻

顔から生える魚
6千年前の絵付き土器

 大きな突起を持つ仮面のような人の顔が内側に描かれた土器、人面網紋盆(じんめんあみもんぼん)。陝西省西安市灞橋(はきょう)区で1952年に発見された新石器時代の遺跡、半坡遺跡から出土した。描かれた絵は人の顔と魚をデフォルメし重ねて描いたものと考えられている。当時の人々は農業に加え魚を獲って暮らしており、身近なモチーフだったようだ。
 展示するのは、58年に開館した西安半坡博物館。半坡遺跡を覆うようにして建設されており、遺跡そのものに加え、魚をモチーフにしたそのほかの土器や農耕に用いられた石器などの出土品を観賞することができる。

南昌市博物館の洪州窯青瓷厠所が見たいの巻

田舎風トイレ
唐代の名窯が再現

 現在の江西省豊城市周辺で作られた、トイレを模した焼き物、洪州窯青瓷厠所(こうしゅうようせいじししょ)。入口には目隠しになる直角の通路があり、反対側には犬がいる。田舎の一般的なトイレの様子を再現し、死者の墓に入れる明器として作られたと考えられている。製造元の洪州窯は、唐代6大名窯の一つ。ほのぼのとした暮らしぶりが伝わって来るようだ。
 所蔵するのは、江西省の南昌市博物館。1984年に設立され、現在までに集められた文物は5000点以上。洪州窯産の陶器が特に多い。唐代の古建築「縄金塔千佛寺」と、漢代の城を再現した「灌嬰城楼」の2つの建物からなる。

遼寧省博物館の棺床小帳が見たいの巻

宮殿風棺ハウス
入母屋造の屋根持つ

 今回のアイテムは遼朝の墓地遺跡「遼墓」の1つより1974年に出土した棺床小帳(かんしょうしょうちょう)。高さ2.3m、幅3.4mの小さな家屋風の建造物で、石の棺を入れるために使われた。現存する古代の建築物としては珍しい木製。9本の棟を持ち宮殿などに見られ、日本では入母屋造(いりもやづくり)の名で知られる「九脊頂」式の立派な屋根を持つ。高貴な人物の眠る場所に相応しい印象だ。
 展示するのは、15年に移転リニューアルオープンした沈陽市の遼寧省博物館。同じ遼墓から出土した独特の形、様式の陶磁器「契丹陶磁(きったんとうき)」も多数見ることができる。

吉林省博物院の石雕彩絵塔が見たいの巻

カラフル石タワー
謎多き古塔から出土

 1970年に古塔の地下から出土した、残存する高さ約96cmの小塔、石雕彩絵塔(せきちょうさいえとう)。小塔の中にはさらに鉄製の塔が入り、複数の舎利箱が収められていた。浮き彫りに色を塗った装飾が、素朴な愛らしさを感じさせる。小塔が発見された古塔は上から半分が残っておらず、その理由は謎。天のお告げがあったから、などの伝説が残されている。
 石雕彩絵塔を展示するのは、昨年新館に移転オープンした長春市の吉林省博物院。古代の陶器から近代の歴史文物まで、幅広い収蔵品を誇る。同じ時代に作られ農安県農安鎮に今もそびえる遼塔のレプリカも展示している。

成都博物館の経穴漆人が見たいの巻

経路とつぼ示す
漆塗りの人体模型

 13年に漢代の墓で、医学書と共に発見された高さ14cmほどの小さな人形、経穴漆人(けいけつしつじん)。黒い漆を塗られた上に、白と赤で「経絡」と「つぼ」を表す細かい線と点が描かれた東洋医学の人体模型だ。さらに「心」「肺」「腎」などの文字も小さく刻まれている。推定年代は古くて紀元前202年。現在における、国内最古の医学的な人体模型とされている。
 展示するのは、四川省成都市の天府広場に隣接する成都博物館だ。16年にリニューアルしたばかりの金色の建物に、青銅器、金銀器、石器、陶磁器など20万点以上の文物を収蔵。4000年以上にわたる同地の歴史を紹介している。

浙江自然博物館のダルウィノプテルス化石が見たいの巻

頭でっかちな翼竜
名はダーウィン由来

 胴体よりも大きな頭部を持つジュラ紀の翼竜、ダルウィノプテルスの化石。その名は「ダーウィンの翼」を意味する。新種の翼竜であることが報告された09年がチャールズ・ダーウィン生誕200周年、著作「種の起源」出版150周年だったことにちなみ、名づけられた。カラスほどの小さい体ながら、長い顎と鋭い歯で空を飛ぶ小動物を捕食していたとされている。
 展示するのは、浙江省杭州市の中心部に位置する浙江自然博物館。4階建ての広大な館内に、同省内外の古生代以前の岩石から現生生物まで約15万点の標本を収蔵している。西湖からもほど近く、杭州旅行の際は要チェックだ。

北京故宮博物院の旅行文具箱が見たいの巻

驚きの細かさ
清代のミニチュア作品

 横74cm、縦29cmの箱に細かい道具が詰められたこちらは、清の6代皇帝、乾隆帝が所有していた文房具セット。中には小さな筆や硯に、文鎮、印鑑、蜀台、さらに文字が書かれた本が入っている。箱を広げると机になり、セットの小物を並べることができる。ミニチュア愛好家としても知られる乾隆帝ならではのアイテムだ。
 これを展示するのは、北京市の故宮博物院。明清朝の王宮、紫禁城が1925年に博物館となったもの。ユネスコの世界遺産に認定されている壮大な建物に加え、180万点以上もの膨大な収蔵品が自慢だ。観光の際は、ぜひたっぷりと時間をかけて余すところなく鑑賞したい。

南通博物苑の貼金銅魁星鋳像が見たいの巻

星を蹴り上げる鬼
正体は文章の神様

 龍の頭上に片足で立ちポーズを決める鬼の像、貼金銅魁星鋳像(ていきんどうかいせいちゅうぞう)。その正体は、古くから文章をつかさどる神として信奉されてきた「魁星」だ。“鬼”が北“斗”星を蹴り上げているポーズで「魁」の字を表現している。右手に持っているのは朱筆で、科挙合格者の名を記すためのものだとか。
 展示するのは、江蘇省南通市の南通博物苑。中国初の近代博物館として1905年に創立した。05年築の新館を含む6棟の建物で、近代までの文物や化石などの自然標本を展示している。絶滅危惧種「チュウゴクオオサンショウウオ」の120cmもの大型個体の標本もあり。

鄭州市華夏文化芸術博物館の霊亀澄泥硯が見たいの巻

怪物が蓋付き硯に
霊力持つ唐代の人面亀

 眉間に寄った皺、大きく剥いた瞳、歯を食いしばった口元、そして大きな耳…と人間離れした見た目の人面亀をかたどった唐代の硯、霊亀澄泥硯(れいきちょうでいけん)。甲羅は外れ、背中のくぼみで墨をすることができる。亀型の硯は人気があり、漢代から多く作られてきた。この硯は、古代の中国神話などに登場する巨大な亀の怪物、霊亀(れいき)をモデルにしたものとされている。
 展示するのは、河南省で11年に開館した鄭州市華夏文化芸術博物館。新石器時代の仰韶文化の陶器や、漢代唐代の硯のコレクションをはじめとする816点の文物を収蔵している。

三星堆博物館の青銅縦目面具が見たいの巻

びっくり顔!神様
古代文明の巨大仮面

 飛び出た長い目がインパクト大!な仮面、青銅縦目面具。1986年に四川省広漢市で発見された古代遺跡、三星堆遺跡より出土した。大きな耳と突き出した目で、はるか遠くまで見通す神の顔を表したものと考えられている。一度見たら忘れられないビジュアルで、この遺跡の文物の中でも断トツの人気を誇る。幅138cm、高さ64.5cmと大きさも迫力あり。
 展示するのは、遺跡そばに位置する三星堆博物館。金箔の仮面を被った頭像「貼金銅人頭像」、世界最大の青銅製人物立像「青銅立人像」など個性的な出土品が数多く並ぶ。まだまだ謎の多い三星堆遺跡。悠久の歴史に思いを馳せよう。