南京博物院の人首魚身俑が見たいの巻

帽子を被った人魚
南京市の山で殉死

 人間の頭部を持つ魚の姿をした陶製の人形、人首魚身俑(じんしゅぎょしんよう)。五代十国時代に登場した国、南唐で作られ、有力者の墓に明器として副葬されたと考えられている。1950年に江蘇省南京市の祖堂山で出土した。首を曲げて真っすぐ前を向く頭部は、冠を被った男性。苦しそうな表情は、墓の主に殉じる自らの運命を思ってのことかもしれない。
 展示する南京博物院は、江蘇省南京市に位置する歴史系総合博物館。中国三大博物館の1つと称され、北京市の故宮博物院から移送された歴史的に貴重な「南遷文物」を数多く所蔵し、故宮と同じ「博物院」の名を持つ。

湖南省博物館の人面紋銅方鼎が見たいの巻

四方を見つめる顔
シリアスな祭祀用容器

 人の顔をあしらった世にも珍しい青銅器、人面紋銅方鼎(じんめんもんどうほうてい)。容器の四面に浮き彫りにされた人面がなんともシリアスな表情でものものしい。内側には「大禾(大きな穂)」の2文字が刻まれていることから、豊作を祈るなどの特別な祭祀に使われたものと考えられている。
 展示するのは、湖南省長沙市に位置する湖南省博物館。56年に開館、国家一級文物763点を所蔵する歴史系博物館だ。長沙市で発見された漢代の遺跡、馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)の出土品を多く展示することで有名。中でも1号墓から出土した保存状態の良い遺体は人気の展示物だ。

青州市博物館の白釉褐彩蛙形花盆が見たいの巻

花を背負う巨大蛙
清代のハイセンス花瓶

 白目がちの大きな瞳が印象的な、陶製のカエル型花瓶。背中には花を生けるための八角形の穴が開いている。カエルらしからぬ短い手足やゆるい表情などのデフォルメがユニークだが、曲線を多く組み合わせた造型に乳白色の釉薬(うわぐすり)がどこか高貴なオーラを漂わせている。花が飾られた状態を想像しながら観賞してみたい。
 展示するのは、山東省青州市に位置する青州市博物館。96年に同市龍興寺遺跡より出土した400体の仏像を、常時入れ替えながら展示している。仏像群は日本を含む海外でも公開され、各地で話題を集めた。訪れた際は専門の陳列エリアにて観賞しよう。

広東省博物館の陶水田附船模型が見たいの巻

田んぼで働く人々
死後の食事を提供?

 広東省広州市の隣、佛山市にて1961年に出土した、陶器でできた水田と舟の模型。水田はあぜで6つのブロックに分かれ、中では6人が鎌を研ぎ、田を耕す。もみの積載運搬用と考えられている付属の舟と合わせ、死後の生活に困らぬように墓に副葬した明器の一種とされている。当時、多くの墓から同様の模型が見つかった。
 展示する広東省博物館は、広州市天河区に位置する総合博物館。03年に、「宝箱」をイメージしたという幾何学的なデザインの新館に移転した。全国屈指の収蔵数を誇る豊富な陶磁器に自然標本、化石も含む16万6000点で、広東の歴史を多角的に味わおう。

武漢博物館の青瓷塢堡が見たいの巻

青磁の城塞模型
自給自足の生活映す

 やぐら付きの塀に囲まれた建物群を青磁で表現した青瓷塢堡(せいじうぼ)。塢堡とは防衛機能を持つ砦のような建物。住民は同様の建物の内外に田畑や池、豚小屋なども持ち、集団で自給自足の生活を行っていた。前漢末から後漢末にかけて、多数の地方豪族が塢堡を建造したことがわかっている。青瓷塢堡は、塢堡の構造に関する資料としても貴重なものとされている。
 展示するのは、武漢市江漢区の鉄道駅そばに位置する武漢博物館。新石器時代の土器や殷代の壺を含む、同市出土の歴史文物の多さが強み。1万7834㎡もの建築面積を誇る、三角屋根が特徴の建物も必見だ。

山東博物館の亜丑鉞が見たいの巻

笑顔で首切る
商代の殺人まさかり

 にっこりと笑った顔のデザインがユーモラスな青銅製のまさかり、亜丑鉞(あちゅうえつ)。楽しげな見た目とは裏腹に、首をはねる刑具として使われていたというから恐ろしい。派手な見た目は、権力者の力を誇示するために必要だったとか。1965年、山東省濰坊市青州市に位置する商代の墓群「蘇埠屯商墓」より出土した。
 展示する山東省済南市の山東博物館は、歴史文物10万件、自然標本8000件を誇る総合博物館。2010年に現在の新館がオープンした。蘇埠屯商墓出土の青銅器の数々に、同省で発見された大型恐竜「シャントゥンゴサウルス」の化石も観賞できる。

揚州双博館の三彩犀牛枕が見たいの巻

唐代のラッキー枕
サイパワーで無病息災

 長方形の板を背にうずくまるサイを模した枕、三彩犀牛枕(さんさいさいぎゅうちん)。複数の色の釉薬(うわぐすり)を組み合わせたカラフルな焼き物として知られる、唐三彩の品だ。サイは新石器時代より中国大陸に生息していたが、唐代以降その数は減少。姿かたちは想像上のものとなった。持ち主は珍しく凶暴なイメージの動物を枕にすることで、病気や災いを避けようとしたと考えられている。
 展示するのは、江蘇省揚州市の揚州双博館。揚州中国雕版印刷博物館と揚州博物館新館が一つとなって05年にオープンした歴史博物館だ。書画なども含む同地の文物を多数収蔵する。

雲南省博物館の牛虎銅案が見たいの巻

牛と虎の絶妙バランス
古代のいけにえ置き場

 親牛の胴体にぽっかり空いた空間に、仔牛が収まった不思議な構造の青銅器。後部には親牛に噛みつく虎がぶら下がっており、大きな牛の頭部とバランスをとっている。戦国時代の滇(てん)国の墓、李家山古墓24号から1972年に出土した。供物を置く台として、祭祀に使われたと考えられている。複数のパーツを溶接して造られており、当時の同国の鋳造技術の高さが伺える。
 この牛虎銅案を展示するのは、雲南省昆明市の雲南省博物館。書画、青銅器、玉器から自然標本まで国家一級の文物509点を含む、22万2871点を所蔵する。15年5月に新館がオープンした。

陝西歴史博物館の幻方鉄板が見たいの巻

元代の魔方陣
どの列足しても同じ数

 縦6、横6の計36に区切られたマス目に、古いアラビア数字が並ぶ鉄の板。陝西省西安市内にて元代の皇族の屋敷「安西王府」跡より出土した、縦、横、斜めどの6マスを足しても同じ数になる「魔方陣」と呼ばれる数字のパズルだ。アラビア数字は現在算用数字として用いられているが、今とはずいぶん形が違っていることがわかる。当時魔方陣はその不思議な性質から、建物の下に埋めて魔除けとして使われていた。
 展示するのは、西安市の陝西歴史博物館。唐代の建築様式を採用した建物に、秦始皇帝陵の出土品含む37万点の文物を所蔵する、国内有数の歴史博物館だ。

広西チワン族自治区博物館の清蟹形青玉帯扣が見たいの巻

リアルな蟹バックル
清代のおしゃれアイテム

 リアルな蟹の形に彫りあげた玉(ぎょく)製のバックル、清蟹形青玉帯扣(しんかにがたあおだまたいこう)。帯扣は帯留めとして使われた当時のファッションの重要アイテム。晋代の頃には、従来の帯鉤というフック様のアイテムに代わって広く使われるようになった。この帯扣は、稲穂をつかむ生きた蟹を表現したもの。今にも動き出しそうな出来栄えだ。
 展示するのは、広西チワン族自治区博物館。4万㎡の敷地に文物7万点強を有する、同区を代表する博物館だ。敷地内「民族文物苑」では、ヤオ族の竹楼、トン族の鼓楼など中国少数民族の建築物も観賞できる。

重慶中国三峡博物館の説唱俑が見たいの巻

愉快な話しぶり表現
殉死者代わりの芸人人形

 物語を面白おかしく語り聞かせる芸人をかたどった、説唱俑(せっしょうよう)。後漢の時代に四川で流行した副葬用の像だ。太鼓を抱え、注目を集めるように人差し指を掲げている。シワのたくさん寄った額や大きくカーブを描く腕などの大げさなデフォルメが躍動感いっぱいで、思わず話に聞き入ってしまいそう。
 この説唱俑を展示するのは、重慶市渝中区の重慶中国三峡博物館。51年に創立した西南博物院をルーツに持つ。05年、現在の新館がオープンした。湖北省宜昌市の三峡ダムをイメージした建物に、同地域の歴史文物や、三峡ダム計画にまつわる資料を展示している。

中国国家博物館の陶鷹尊が見たいの巻

酒を背負い踏ん張る鷹
7000年前の“萌え”陶器

 鷹をかたどった陶製酒器、陶鷹尊(とうようそん)。黄河中流域で栄えた新石器文化、仰韶文化の文物で、1958年に渭南市澄城県太平庄で出土した。踏ん張るように開いた太い両足と、尾の3点で体を支えている。背中には大きな穴が開いており、酒を注ぐことができた。鋭いくちばしをしているものの、全体的に丸っこい体つきが柔和で可愛らしい印象だ。
 この陶鷹尊を展示する北京市の中国国家博物館は、03年に中国歴史博物館と中国革命博物館が合併して生まれた歴史系博物館。世界最大の青銅器、司母戊鼎など中国の歴史教科書に掲載されているような文物を多数観賞できる。