歌手 谷村 新司 「昴」で歌っているのは、目に見えないものの大切さ

2018年9月1日

01谷村新司

1972年、バンド「アリス」としてデビュー。国民的な人気を博す。81年、中日国交正常化10周年記念として北京工人体育館にて行われた「Hand in Hand北京」で、自身初の中国公演出 演。以来、中国をはじめとしたアジアでの活動を積極的に行い、2004年には上海音楽学院常任教授に就任。日中の架け橋として活躍している。

日本人なら誰もが口ずさめるであろう『 昴 』( 中国語名は『星』)。谷村新司が作詞作曲を手がけ、1980年にリリースされたこの曲は、アジア各国の歌手にカバーされるなど世界に広がり、 今年で誕生38年目を迎えた。そんな谷村新司が9月21日に上海大劇院にて、「38年目の 昴」と銘打ったコンサートを開催する。『昴』の誕生秘話や思い、今回の中国公演に対する抱 負などを伺った。
――『昴』は、中国でも広く知られる名曲ですが、この曲が生まれたエピソードを教えてください
 引越しをしている最中に、突然、 詞とメロディーが浮かんできました。その詞の風景は、子どもの頃から目を閉じるといつも見えていた、自分の「原風景」のようでした。当時の日本は高度経済成長の中、お金で幸せを買えるかもしれないと勘違いし始めていた頃。この歌は、大切なものは「目には見えないもの」と伝えています。やさしさ、思いやり、愛……、みんな目には見えません。けれど、人にとって大切なものですね!
――中国公演では必ず『昴』を歌われるとのことですが、この曲に対する特別な思いがおありなのでしょうか?
 以前の中国公演で、この曲の前奏が始まると皆さん拍手をしてくれました。その歌を聞きたいと思う人 の前で歌うことは大きな幸せです。ですが、この歌を歌っているのは私でも、この歌の主人公は聞いている 人。一人ひとりが主人公で、大切な物語をみんな持っています。だから、『昴』を歌う時、心はいつも「真っ白」な状態で、何も考えないようにして歌っています。聞いている人、それぞれの物語に寄り添うように 歌い続けていきたいですね!
――今回の中国コンサートのプログラムには、どのような思いが込められていますか?
 今回のコンサートでは、東京国 劇場で発表し、今、日本全国でツアーを行っているものを中国でも聞いて頂こうと思っています。『38年目の昴』は、1980年のアルバム『昴』の中に収められた楽曲を中心に構成しています。1980年のあの頃、自分は、こんなことを思い、こう生きたいと考えていたんだと思い返しながら、とても新鮮な思いでステージに立っています。今回は、中国の皆さんに愛されている楽曲をメニューに加えたりしながら、ステージで初めて歌う楽曲などもあるので、楽しんで頂きたいですね。1980年と2018年。この二つの時代が鏡のように、とてもよく似ていながら、相反するように感じています。「今を生きる」そのヒントをコンサートで感じてもらえたら、うれしいです!
――今回のニューアルバムに、これまでに創ってきた数多くの楽曲の中から13曲だけを選んで収録したのはなぜでしょう?
 今回のアルバムには、今回のツアーで歌う楽曲の中から、一枚のCDに入る容量のマックスとして13曲を選び、4月にレコーディングしました。『昴』を含め、コンサートに来てくれた皆さんがその日に聞いた曲が入ったCDが欲しい! という要望に、初の試みとして応えたものです。中国の皆さんにも手に入るようにしたいと思っています。